「10 BABYMETAL LEGENDS」読書感想文 ~一点豪華主義って素敵やん
KOBAMETALの著書「10 BABYMETAL LEGENDS」を読み終わりました。
今まで自分がBABYMETALに感じてきた魅力、他のアーティストとは違うユニークさについて、自分の中でもやもやしていたことが、プロデューサー自ら言葉を与えてもらえて読後はかなりスッキリした気分になりました。
今回はそんな言葉のいくつかをピックアップしていきます。
これから読もうという方にはかなりネタバレになりますので、読まれてからにされることをオススメいたします。
もくじ
活動の時間が限られていた
LEGEND Ⅰでまず語られているのはBABYMETALのメンバーは学生であるがゆえ活動の時間が限られているということである。
そこからSNSをしている時間がないという話も出てくる。
BABYMETALはプライベートを出すことはないし、ライブ期間中以外は何をしているのだろうと思うほど露出がない。
ちょっとは出てきてくれよと正直思うこともあるが、活動の時間が限られている前提で活動。
そのためにSNSなどの活動を割愛しているところは潔くて、ユニークだ。
想像ではあるが、SU-METALもMOAMETALもプライベートの時間をかなり大切にされていると感じた。
もしかしたら脱退したYUIMETALも同じなのかもしれない。
目黒鹿鳴館ライブにコルセット
2012年7月21日の目黒鹿鳴館ライブの思いが30ページから4ページに渡り記されている。
どんなライブだったかはもちろん聞いて知ってはいるが、読んで改めて驚かされるのは、当時実績もなく、キャパも少ない目黒鹿鳴館でそこまで仕掛けをしたのかということである。
ヘドバンギャー!!の特典のコルセットを入場者は首に巻き、棺桶などをステージに用意。
骨の番人がコルセットチェック。
そして紙芝居。
当時SU-METALは中学生、YUIMETAL、MOAMETALは小学生。
そんな実績のない三人組への演出がここまで凝ったこだわりと、アミューズがKOBAMETALに対して全幅の信頼があったことがわかるというものだ。
IDZツアーは更にこった演出が施されている。
O-EASTで開催されたLEGEND Iは、結果を知っているから驚かないが、現場にいたら雄叫びをあげただろう。
神バンドの登場だ。
神バンドを用意しているならば、最初から演奏させないか?
いや、せめて一曲ぐらいで出てこさせてないか?
BABYMETAL DEATH
いいね!
君とアニメが見たい 〜Answer for Animation With You
ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
おねだり大作戦
紅月-アカツキ-
ド・キ・ド・キ☆モーニング
-ENCORE-
ヘドバンギャー!!
イジメ、ダメ、ゼッタイ
アンコールの8曲目「ヘドバンギャー!!」からの2曲だけなのだ。
2曲やっても全曲やっても払うギャラも準備もそんなにかわらないですよね?
だったら最初から入れませんか?
私がスタッフならばついついそう進言してしまうところだ。
しかし、読めば読むほど、当時、その現場にいた人たちに嫉妬が募るばかり。
当時、話題になりつつあることは知っていたが、メンバーが子供だったばかりに興味を持ってはいけないと決めつけていた。
後悔。
ライブはストロングスタイルとシアトリカルの二刀流
これって前から言ってましたか?
シアトリカルはLEGEND-Sの時によく言われるようになったが、ストロングスタイルは初耳。
一曲目からBABYMETALを求められるフェスでの戦い方をストロングスタイルと呼んでいるそうだ。
さらっと重要なことがここに書いてある。
ストロングスタイルではそのような(シアトリカル)なマジックは使えないため、~中略~神バンドを降臨させたのだ。
これって、穿って読むと、シアトリカルなライブでは神バンドは不要とも取れる。
そういえば神バンドの存在が薄くなったのは、LEGEND-Sから。
そして翌年のDARK SIDEは全体がシアトリカル。
おお、なんかって気がしてくる。
考えすぎだろうか。
ソニスフィア終演後は物販に長蛇の列
2014年の武道館からソニスフィアへの勢いは読んでいるだけで胸がときめくものがある。
「やったぁ!」というよりも「とにかく無事終わってよかった」という感想もプロデューサーならではだろう。
終演後はBABYMETALの物販に長蛇の列ができたことに手応えを感じたようだ。
ゴンドラは天井にレールをはわせた
2015年の横浜アリーナ。
この年から私はBABYMETALのライブに行くようになり、特に12月に開催された横浜アリーナは衝撃的な内容だっただけに忘れられない。
印象的なのは二日目のTHE ONEでゴンドラに乗ったBABYMETALが登場。
前日のゴンドラは確かステージ上を移動しただけ。
それが客席に向かって動き出し、場内を一周したのには本当に驚いた。
それができるならばなぜ2DAYSの初日もやらないんだ!
という驚きだ。
そして今回はじめて読んで知ったのは、あの二日目にゴンドラを一周させるためだけに、天井にレールをはわせたという事実である。
会場のことも装置のことも知らないが、横浜アリーナならば、そんなレールはじめから天井についていて、いろんなアーティストが使いまわしてるのかと思いこんでいた。
客席の上を走らせるのだから、かなり安全面も考えなければいけないことだろう。
もちろんメンバーが落下するようなことがあってはいけない。
それを二日間のうちに一回だけとは。
そして、TRILOGYの会場はメンバーの頭文字と一致。
3つの会場の三角形の真ん中に東京ドームがあるという素晴らしいアイデア。
そしてセカンドアルバムや東京ドーム公演など怒涛の告知ラッシュ。
横浜アリーナのライブのあとはずっと興奮していたことが思い出される。
一点豪華主義
横浜アリーナの二日目だけにゴンドラを会場一周させたことをBABYMETALらしい「一点豪華主義」という表現をしている。
この「一点豪華主義」という言葉はここではじめて登場した気がするが、その後何度か登場している。
KOBAMETALも自分がやっていることが一点豪華主義なんだということをここで気がついたのかもしれない。
先日、BABYMETAL EXHIBITIONで武道館で使用された衣装を見た。
衣装の展示というのは他のアーティストも含めて何度も見てきて、正直、こんな安っぽいものがステージでは見栄えするんだなぁと思うことがほとんどだった。
ごめんなさい。
しかし、BABYMETALの武道館の衣装は全然違った。
博物館に展示してある女王様のお召し物のような豪華さだ。
BABYMETALといえば最近は特にずっと同じデザインの衣装を着続けている。
マイナーチェンジすることもあるが、ほぼ同じだ。
武道館10DAYSを同じ衣装一着で通した初のアーティストかもしれない。
もちろん、同じデザインの替えも用意されているのだろうが、デサインは少なくともかわらない。
今、ライブといえば各アーティスト、フォーマットがある程度決まっており、アンコール後は物販で販売中のTシャツを着て、タオルを手にして登場する。
そりゃそうだ。
買ったファンへのサービスにもなるし、買おうと思う人も増えることだろう。
しかしBABYMETALは最初から最後までかわらない。今日も明日もかわらない。
THE ONEでガウン羽織ったり、紅月-アカツキ-でマント羽織ったはあるが、基本同じ衣装だ。
そういえばあの紅白歌合戦でさえ、歌唱中はもちろん、オープニングからエンディングまで同じ衣装だった。
それももしかしたら初なんじゃないだろうか。
ビジュアルもいいBABYMETALの二人であるから、他の衣装の姿も見てみたいと思うものの、一点、デザインに時間をかけ、製作にお金をかけた衣装で我々の前にいる時はいつづけるというのもらしくていい。
武道館の演出でいえば、丸山さんと佃井さんを登場させるならば、紅月-アカツキ-の短い瞬間ではなく、もっとあちこちで使う方法もあっただろう。
その潔さ。
一点豪華主義がBABYMETALのおもしろさのひとつである。
ライブの時間なんか長くしようと思えばいくらでも長くできるはずだ。
それをあっさり一時間で終わる。そのかわり全力で行くというのもBABYMETALらしくて好きだ。
10武道館が発表になった時に一日2公演の予想もあった。
それされたら萎えるなぁと思ってたが、一日一公演の全力ライブでほっとしたことを思い出した。
早くから決まっていたウェンブリーアリーナ
2016年4月のウェンブリーアリーナでのライブがあると告知されたのは2015年8月のEUツアー中だった。
しかし、実際はどうやら2014年にO2 アカデミーブリクストンのキャパ5000が完売になったところあたりから決まっていたようだ。
それを思うと、現在、封印とされているBABYMETALも実は2022年、2023年のとんでもない大きな会場でのライブが決まっていて、実現に向けて動いているのかもしれない。
ワクワクする。
東京ドームの天空ステージは10階建てのビルの屋上
かなり高い位置にあることはもちろんわかっていたが10階建てもあれはあったのか。
確か、ド・キ・ド・キ☆モーニングは天空ステージだったはず。
10階建てのビルの屋上で寝転ぶのは怖い気がする。
それもちゃんとしたビルではなく、ライブのためだけに建てられた塔である。
意外だったのはKOBAMETALが「Sis.Anger」がお気に入りのようで、「あれほどブルータルな楽曲を東京ドームで披露するのはある意味チャレンジ」「BPM的には最速記録じゃないか?」と書いてあったことだ。
あらためてSis.Angerがそんな曲だったのかと教えられた。
LEGEND-Sは過去1位2位を争うライブ
確かにLEGEND-Sは度肝を抜かれる素晴らしいライブではあったがKOBAMETAL自身からもそのような言葉が出るのは意外だった。
Distortionは翌年のカンザスシティでのライブで初披露になったが、実はLEGEND-Sで初披露の予定。
それがステージ構成の変更に伴いなしになったそうだ。
そういった変更は他にもいくつもあったことだろう。
いまだに5大キツネ祭りの初回の黒キツネ祭りは入場が遅れたことなどから数曲カット。
そしてその後の5大キツネ祭りも黒キツネにあわせて曲数を減らしたのではないかと思っている。
DARK SIDEはあらかじめ予定されていた物語だった
DARK SIDEがはじまった時、これはYUIMETALが出演できないことで急遽考えられた演出じゃないかのと訝った。
しかし、はっきりとあらかじめ予定されていたと書かれている。
THE CHOSEN SEVENはどうなんだろうか?と思ったら、すぐに重要な言葉が書いてあった。
「第7章はTHE CHOSEN SEVEN(選ばれし7人)という「七人の侍」のようなイメージで、メンバー3人を含む7人編成のコンセプトで作られた。」
メンバー3人。
YUIMETALも含まれているということだ。
そして「YUIMETAL欠場が続く中、変則的なフォーメーションでスタートしたワールドツアー」とも書いてある。
それから推測すると、海外ツアーではSU-METAL、MOAMETALに加えて丸山未那子さん、佃井皆美さんの4人構成のBABYMETALだったが、更にYUIMETALもいた5人構成だったということだろうか。
SU-METALとMOAMETALが縦に一列に並ぶ姿は違和感ではあったが、段差があるステージだっただけにはじめからYUIMETALがいない前提だったのかなとも思えた。
またYUIMETALが戻りやすいように選ばれし7人ということにしていたのかとも考えていたがそれも違うようだ。
そしてその後にはDARK SIDEの日本ツアーでの幻の演出が書かれている。
「ステージには小さな三つの三角形があり、SU-METAL、YUIMETAL、MOAMETAL、それぞれが三角形の頂点に立ち、メンバーそれぞれがリーダーとなってダンサーを従える~中略~その三角形が重なり合うと巨大な三角形へと進化し、パワーアップした誰も見たことがないDARK SIDE BABYMETALが登場する」
KOBAMETALの頭の中には最後の最後までYUIMETALがいて、YUIMETALの復帰を待っていたのだということがわかる。
そして最後の最後はこのように締めくくられている。
「BABYMETALの世界観とは、ファンタジーのストーリーでもありながら、メンバーの変化とともに進化するリアルタイムストーリーでもあるのだ。」
そうか、我々はBABYMETALのファンタジーとリアルをいったりきたりしている姿を見せられているということか。
LEGEND METAL GALAXYはBABYMETALのベストライブを争う内容
2020年1月の幕張メッセでのライブはなんといっても巨大スクリーン。
これはオールスタンディングの後方席の人もBABYMETALの世界観に没入できるようにと導入。
東京ドームクラスの枚数のLEDパネルを幕張メッセで使ったのははじめてじゃないかと言われほど巨大だったそうだ。
でかいとかいうレベルじゃなくて、壁だった。
Oh! MAJINAIでスクリーンいっぱいにヨアキムが映し出され、会場が夢中になり、メンバーが嫉妬したと書かれている。
そうか、メンバーは他のものに夢中になると嫉妬しちゃうんだな。気をつけなきゃいけない。
DistortionはいつもBABYMETALメンバーが出演しないMVが流れいたが、幕張でメンバーと映像を融合させることができたと書いてある。
それはごめんなさい、気がついてなかった。
西の神バンドはヨーロッパツアーの前に日本に立ち寄って幕張でプレイしたと書いてある。
まとめ
気になる言葉をいくつかピックアップするつもりが、随分と長くなってしまいました。
「10 BABYMETAL LEGENDS」には支えてくれているCREWに対しての感謝の言葉は何度か出てきますが、メンバーについてはほとんど触れられていません。
しかし、随所に本人たちの意志を尊重し、プライベートやもしかしてたら将来のことも守ろうとしている姿が垣間見えます。
この本を読むとBABYMETALのライブ映像を振り返りたくなりますね。
もしかしたら、2017年に行ったフィルムフェスみたいなことを一ヶ月かけてやりたかったのかもなんて考えました。
まぁ、個人的に勝手にやりたいと思っています。10月10日のカウントダウンに向けて。