なんかおもしろい!! USツアー開幕 鞘師里保はBABYMETALにいたんです⑤

EPISODE ⅧのBABYMETALはサードアルバム発売に加え、過去最高のワールドツアーを計画していたにも関わらず、不運が多かった。

サマソニ大阪は前日の大型台風により入場や物販が大幅に遅れ、BABYMETALはライブができたものの、中止となったアーティストもいた。

11月に出演予定だった香港のフェスはデモで治安がよくないという理由で一週間前になって中止となった。

コロナにより2020年3月以降に予定されていたアジアツアー、ヨーロッパツアーはすべて中止。

そして2019年9月4日。

20公演にも渡る全米ツアーの幕開けとなるオーランドのライブは過去最大級のハリケーンドリアンがフロリダ半島を襲い、開催が危ぶまれていた。

同じ会場で前日に開催予定だったライブは中止が決定。

9月3日にオーランド空港は閉鎖することを発表していた。

ツアーの初日は何が起きるかわからない。

私はどうしても見たいとチケットを購入して行く準備をしていた。

セントレア発のデルタ航空、デトロイト乗り換えだ。

もしかするとデトロイトからの飛行機は飛ばないかもしれない。

移動中にBABYMETALがライブ中止を発表するかもしれない。

それでももし開催された時に日和ったばかりに見逃すことになるのはつらすぎるので、不安を抱えつつ飛行機でオーランドに向かうことにした。

オーランドの会場がユニバーサルスタジオと隣接していており、折角だからユニバーサルスタジオに2日前に行って入ってみようとしたのが功を奏し、空港が閉鎖になる前にオーランドに到着。

他の海外ライブにいつもいるメンバー、オマイツさんたちも、他の最寄り空港を経由するなどしてオーランドの会場に集まってきていた。

私達の賭けは勝った。

BABYMETALのライブは予定通り開催となったのだ。

オーランドライブの鞘師里保

いつも早くから並びドセンを目指す私だが、オーランドでは下手に行こうと決めていた。

鞘師里保をもっと近くで見たいと思っていたからだ。

BABYMETALのライブを見に海外に行く時はいつもワクワクしているが、オーランドは自分の中では最高にワクワクしていた記憶がある。

直前に発売になったソニーのコンデジDSC-RX100M7を購入。

自分としてはかなり高い買い物だったが、鞘師里保を撮影するのに後悔はしたくない。

入場がはじまると私はセンターのお立ち台と下手のお立ち台の間の最前柵を確保した。

オマイツから、えっ?!という声があがった。

いつもドセンを狙う私が下手に行ったからである。

オープニングアクトのAVATARが会場を熱くしたあとに出てきたBABYMETAL。

アベンジャーズは鞘師里保だった。

確か自分は手首に赤のバンダナを巻いていた。

鞘師里保を応援しに来てる人がいるよというメッセージのつもりだった。

 

正直、恐怖もあった。

中学生の時に可愛くてもオトナになったらそうでもないということは多々ある話だ。

モーニング娘時代の動画とか見すぎて、いいイメージが出来すぎ、目の前で見たらガッカリしてしまうことだってありうる。

実際、過去にまぁまぁ好きだったアイドルを間近で見て、目が本気で笑ってない(ように見えた)、メイクがかなり濃いんだなぁということがわかり、覚めてしまったことがある。

まぁ、その時はその時か。

BABYMETALはSU-METALとMOAMETALなんだから。

 

目の前のステージの上にいた鞘師里保はイメージしていたよりもずっとキレイだった。

ガッカリするんじゃないか?!なんてついさっきまで思っていたということをすっかり忘れ、目の前で踊る鞘師里保に酔いしれていた。

一曲目のメギツネの鞘師は色気があった。

そして、このメギツネで私にとって大事件とも言えることが起きた。

途中のアオリで、鞘師里保はお立ち台の一番前まで行き、手を振ったのだ。

BABYMETALのお立ち台は前から1/3にラインが引いてある。

それ以上前に行くと危ないから行くな、という意味だろう。

だから、BABYMETALがお立ち台の前の方に行くということは見たことがない。

それを鞘師里保はつま先がお立ち台の先から出るほど前に出て、しゃがみこみ、そして手をふったのだ。

百数十回見てきたBABYMETALのライブではじめての光景だったので、かなり衝撃だった。

その上、鞘師里保=よく転ぶというのがこの時にはすっかり頭にあったから、冷や冷やした。

いや、いいよ、おかげで下手は一曲目から大盛りあがりだ。

2曲目のElevator Girl はレディー鞘師だ。

続いてShanti Shanti Shantiでは指先まで神経が行き届いたなんとも美しいポージングを見せてくれる。

次の曲が驚いた。

この日、初登場した海外神バンドによるバンドロはDARK SIDEでSU-METALのソロ曲だったKagerou(当時は曲名がわからずTattooと呼んでいた)だ。

久しぶりに見ることができるんだと思いながら見ていたら、なんと下手から鞘師里保が肩を揺らしながら出てきた。

えっ?!

SU-METALのソロ曲だよ、間違えた?!

上手を見るとMOAMETALも肩を揺らしながら登場してきていた。

これがBABYMETALのおもしろいところ。

昨年までソロ曲だったKagerouが3人の曲として披露したのだ。

そして、Kagerouが一番と言っていいほど鞘師里保の魅力を引き出していた。

左右に大きく腕を伸ばす。

こちらが想像していたよりも数センチ、数十センチ、腕が余分に伸びるように見える。

グラストンベリーフェスでは重戦車のように踊っていた同じ人とはとても思えない優雅さ。

表現力。

ああ、これが鞘師里保なのか、と思えた。

楽器の演奏の褒め言葉でグルーヴ感がいいなんてあるけど、鞘師のダンスもそれなのかもしれない。

指の先の先まで、時に髪の毛の先の先まで気持ちが届いたように舞う姿。

ダンスという芸術はこんなに素敵なものなんだと改めて思ったりもしていた。

 

配信のあったグラストンベリーではあえてメイクを濃いめにし、激しく踊り、ライブハウスではナチュラルメイクでしなやかに踊り、そのギャップでおとそうなんていう高度な駆け引きをしているのだろうかとまた疑いグセが頭によぎったが、それならそれでもいい。

Starlightではどこか憂いた表情で舞う。

オーランドまでかなり遠かったし、ハリケーンでどうなるか不安だった。

それでも来てよかった。

 

ギミチョコ!!は鞘師里保のかわいいが満載で撮れ高最高の曲である。

欅坂46のステージを何度か見たことがあるが、あの集団の中でも平手友梨奈が踊っていると自然と目が奪われて、平手友梨奈ばかり見てしまう。

そうなると平手友梨奈をセンターにしないとバランスが悪くなるだろう。

SU-METALもそうで、歌ってるから真ん中にいるだけではなく、絶対的な存在感があるから真ん中にいると私は思っている。

歌っているからさほど気にならないが、ダンスは平手友梨奈同様に目を奪われるものがある。

そして鞘師里保もモーニング娘時代に絶対的エースと言われたのは伊達ではない。

やはりそう言われるだけの実力、魅力があるわけで、ステージにいるだけで人を魅了してしまうのだ。

SU-METALと鞘師里保が同時に舞台に立つなんてことは奇跡かもしれない。

ああ、だからあえてマイクつけなかったってことないだろうか。

前年のサポートに入った平井さやさんにはマイクがついていたのだ。

 

この頃はPA PA YA!! の肘を前に出し、前後にさせる踊りの鞘師里保の肘が非情に印象的で、肘師里保なんていい方をしている人もいた。

盛り上がったお尻で性的な魅力を異性にアピールしていたものの、二足歩行するようになり、お尻が目立たなくなったため人類の女性は胸が大きくなったと言われいてる。

更にその胸を隠す服を着だして、その魅力を伝える部位は肘に移動をしたんじゃないかと思えるほど鞘師里保の肘は魅力的だった。

Distortionはクールな鞘師里保が楽しめる曲だ。

KARATEは倒れる鞘師里保をSU-METALが腕をとり、起こすというシーンがある。

その裏にあるドラマを勝手に妄想して感動する瞬間だ。

ヘドバンギャー!!の鞘師里保の好きなところは、伝説の黒髪を華麗に乱し、狂い咲くこの花ははかなく消える~の最初の部分は後ろを向いていて、次の瞬間振り返り踊りだすところだ。

THE ONEは動きが少ないために腕がない私でもキレイに撮影できる。

Road of Resistanceではグラストンベリーフェスのように荒ぶってはいないがそれでもそこそこ激しい鞘師里保を堪能できる。

画像を見るとわかる通り、鞘師里保の前髪はその曲、その瞬間によって全然違う。

かなり顔にかかっていることもある。

乱れてしまっているように見えることもある。

たまたまそうなってたかと思っていたが、どうやらこれも鞘師里保の表現力のひとつのようだ。

2014年のミュージカル「リリウム」のパンフレットの中で、脚本演出家の末満健一が鞘師里保の髪が顔にかかることについて言及。

演劇用語で付け髪というらしく、髪の毛をつかった表現力のひとつで、演技指導したわけでもないのに、それをしていた鞘師里保を絶賛している。

だから、BABYMETALのダンス中でも髪の毛が目にかかってしまっていることがあったが、多分、あえてそうしているのだ。

 

ダンスで上手いと言われている人が出てくるとたいてい頭でまわったり、足さばきが難しそうなことをする。

鞘師里保のダンスはそうじゃない。

平手友梨奈の憑依したような神がかったダンスとも違う。

一言で言えば「なんかおもしろい」のだ。

時にうっとりもするし、時に笑顔になるし、時に爆笑する。

Twitterで鞘師里保に対して「なんかおもしろい」と表現したら、かなり沢山の方からわかると言って頂いた。

みんな、そう思っていたんだ。

おもしろくて目が離せない。

ある意味、猫や赤ちゃん、幼児みたいなものなのかもしれない。

ああ、なんとなくこの2ヶ月ほどなぜこんなに鞘師里保に夢中になったかわかってきた気がするぞ。

そんな風に感じていたオーランドのライブだった。

オーランドライブの他の画像はこちらです。