鞘師里保を求めてヨーロッパ!! 鞘師里保はBABYMETALにいたんです⑪
幕張メッセの翌週、セントレアからフィンランド航空でストックホルムに向かった。
BABYMETALのヨーロッパツアーの開幕を見るためである。
ツアーの日程が発表になった時に目を疑った。
2月から3月にかけてヨーロッパの北部を回るスケジュール。
過酷な寒さが予想されたからだ。
BABYMETALの海外ツアーは5月から8月ぐらいにかけて行うのが常。
2018年には12月にツアーも行ったが夏の南半球である。
もくじ
ストックホルムの鞘師里保
ストックホルムは寒かった。
まぁ、死ぬほどではないが、日本の冬ぐらいには寒かった。
ライブ当日の朝、5時過ぎに私は会場に行き、待機をはじめた。
まだ暗いし、寒い。
人も誰も歩いてない。
なんだったらちょっと恐い。
ストックホルム一公演のみの計画だったので、少しでもいい条件でこのライブを見たい。
一時間以上経ってから人が集まりだした。
みんな、寒い中、私が待機していたことにあきれていた。
開場すると私はドセンを目指した。
USAでは下手の鞘師里保前を目指したが、ライブハウス規模での初披露曲があると予想されたため、真ん中からバランスよくダンスを見たいと思ってのことだ。
USAツアーとはセトリはかわり、一曲目にFUTURE METALが来た。
二曲目はDA DA DANCEだ。
DA DA DANCEの最初の演出は素晴らしい。
BABYMETALの顔がはっきりと確認できないのだ。
特にアベンジャーズのシルエットはわかるけれども顔は見えず、確認できるまでドキドキが止まらない。
鞘師里保だった。
ストックホルムまで来てよかった。
寒い中、朝から並んでよかった。
DA DA DANCEの鞘師里保を間近で見るのもはじめてだった。
物凄い笑顔でジュリアナ扇子をふるようなダンスをしたあと、表情を一瞬で切り替え、決めてくる。
やっぱり鞘師里保は楽しい。
そしてOh! MAJINAIもセトリに入れてきた。
Oh! MAJINAIという曲の楽しさといったらとんでもない。
また鞘師里保が踊る前提で作ったかと思えるほど鞘師里保のキャラクターにあっていた。
Oh! Majinai前半あげちゃいますね
BABYMETAL
ストックホルム pic.twitter.com/XdY0coUWOD— BOOK (@a_book_a) February 3, 2020
Oh! Majinai後半になります!
BABYMETAL
ストックホルム pic.twitter.com/2rKWfpfC6t— BOOK (@a_book_a) February 3, 2020
ぶんぶんと腕を振り、振り返る。
コサックを真似て前足を前に出す。
そしてなんとも楽しげな表情。
この時は申し訳ないが、岡崎百々子がOh! MAJINAIを踊る姿はまったく想像つかなかった。
ドイツ在住の日本人の方が私の隣だった。
入場してから開演まで長い時間があるし、朝6時半頃に私の次に来た方がその方だったので、一日一緒にいてあれこれ話をさせて頂いた。
その方は2015年のBABYMETALのスイスのライブに来られていて知り合いになった。
クラシック音楽が好きで、ドイツに移り住んだ方であるが、NHKのBABYMETAL革命をたまたま見て、ライブに来られ、それからはまり、ちょくちょくヨーロッパはもちろん、日本国内、アメリカでもお会いしている。
YUIMETALがお気に入りで、2018年のDARK SIDEではチケットを持っていたものの来なかったというようなこともあった。
もう行かないかもしれない、確か、そんな話もされた記憶がある。
どうしたんですか?
実はね、鞘師がかなり気に入ってまして。
ブックさんが言う意味が最初わからなかったけれど、見てたらたしかにいいですね。
なんて話をした。
そうなんだ、YUIMETALの脱退で抜けてしまった人、抜けそうになった人も鞘師里保が踏みとどまらせて、戻ったりもしているのだ。
新曲をもう一曲入れるとしたらBrand New DayかNight Night Burn!と思ったら、まさかのBxMxC。
BxMxCはMETAL GALAXYの日本国内盤しか入ってないため、海外で披露することはないと思いこんでいた。
これがまた猛烈にかっこよかった。
BxMxC前半てきなてきな#BABYMETAL#ストックホルム pic.twitter.com/06QEm3QBLI
— BOOK (@a_book_a) February 4, 2020
SU-METALのボーカルはもちろん、MOAMETALと鞘師里保のダンスも今までのBABYMETALにはないクールなものだった。
BxMxC後半#BABYMETAL#ストックホルム pic.twitter.com/BaYhJeVX9p
— BOOK (@a_book_a) February 4, 2020
大満足過ぎるヨーロッパツアー初日、ストックホルムライブだった。
すぐに私は帰国したが、日本の鞘師里保ファンが歓喜していた。
私や他のファンが撮影した鞘師里保のOh! MAJINAI動画が鞘師里保ファンの心に火をつけたのだ。
はじめの3日間で北欧3カ国をまわるツアーだったが、アベンジャーズはすべて鞘師里保だった。
ライブがあるたびにTwitterには鞘師里保の新しい画像、新しい動画が流れてきた。
NO鞘師でFINISH
私、イギリス行きます!
鞘師里保を見るためにひとりアメリカに渡った女の子がそう宣言してきた。
つい数日前まではヨーロッパはさすがに行きませんと言っていたのにだ。
それから、彼女の旅のアレンジに協力した。
チケットの募集をかけたり、飛行機は仲間の飛行機好きの女性を紹介して、アドバイスしてもらったりした。
その準備している間もアベンジャーズは鞘師里保が続いた。
これってもしかして、ヨーロッパはすべて鞘師里保じゃないか?
などとみんな口々に言い合っていた。
当初彼女は仕事の都合で、イギリス2公演行くと計画していたのだが、飛行機を調べていくと、仕事終わりで羽田に移動して深夜の便に乗れば、もうひとつ前のオランダのライブに行くことができることがわかった。
BABYMETALのヨーロッパツアーはイギリスからオープニングアクトが変わることになっていた。
そのタイミングでアベンジャーズは鞘師里保から岡崎百々子に変わるという説が結構信じられていた。
オランダも行けば、イギリスからサボートアクトがかわる説が本当になったとしても、オランダで鞘師里保を見ることができる。
私も一緒についてサポートしてあげたかったが、その後のこともあり、日本でサポートするのが精一杯だった。
ストックホルムの後、オスロ、コペンハーゲン、ハンブルグ、パリ、ウィーン、ケルンとなんと7公演連続で鞘師里保がアベンジャーズをつとめた。
岡崎百々子が帯同しているとはとても思えない。
これはもしかして鞘師里保がBABYMETALの正式メンバーになったんじゃないかとも噂された。
ヨーロッパツアーは準備期間もあったため、何人かの鞘師里保ファンが旅行も兼ねて、ライブに行っていた。
ウィーンで鞘師里保に会えた女性のDA DA DANCEで鞘師里保が出演とわかった瞬間の叫び声は感動的だ。
鞘師にきづいた瞬間のヲタク pic.twitter.com/5ljozqX5MV
— やいゆえよ (@nemummmmm) February 11, 2020
しかしだ、ベルリンで岡崎百々子がアベンジャーズに出てきた。
彼女を見送りに羽田空港まで私と飛行機をアレンジしてくれた女性と一緒に行った。
時間がタイトだったので、羽田空港の中で迷ったりして乗り遅れてはいけないと思ったからである。
ベルギーのライブもアベンジャーズは岡崎百々子だった。
グラスゴーでは鞘師会で顔なじみなっていた女子大生も合流、そしてアメリカツアーにも行っていた青年の3人の旅がはじまっていた。
しかし、結局、女の子はオランダ、グラスゴー、カーディフの3公演行き、一度も鞘師里保に会えなかった。
女子大生もUK3公演で一度も会えず、ニューヨークに来ていた青年などは6公演行き、一度も鞘師里保に会えなかった。
みんな、BABYMETALのライブは楽しかった。
もあちゃんかわいかった。
百々子がこっちを見てくれた。
と、喜んではいたが、内心は違うだろう。
シアトルで知り合った女の子は旅行中、一度もTweetしなかった。
ヨーロッパツアーの前半は髪型についておはぎがのってるだの喜んでツイートを繰り返していたのにだ。
後で聞くと、ツイッター見るのもつらかったとのこと。
変に期待させるメッセージも時に残酷なことになる。
つらさが増したのは幕張メッセの凄いライブにも一因がある。
だって、やる気になれば一公演に複数のアベンジャーズを出すことができるのを知ってしまったのだから。
フィンランド&ロシアへ 二度目の渡欧
私も最後の3公演を観賞するために、再度ヨーロッパに旅立った。
ヨーロッパツアーは全17公演だったので、勝手に鞘師里保7回、岡崎百々子7回で、15公演目となるフィンランドは鞘師里保じゃないかと期待したが、岡崎百々子だった。
国がかわれば可能性はあるもと思ったが、ロシアはサンクトペテルブルクも岡崎百々子で、最後のモスクワは大きな箱だから鞘師里保が出てくる可能性があるぞ、なんて儚い期待も実らなかった。
最前のいい場所で見ていたが、なんだか気持ちがあがってこない。
ビザも取得して、大変な思いをして来たというのになんてことだ。
SU-METALは相変わらず凄い。MOAMETALも凄いんだ。
神バンドの演奏だけでもお金を払う価値がある。
岡崎百々子とMOAMETALのシンクロはもう神レベルだ。
それでも気分があがってこない。
最近は年齢も高くなり、最後まで柵にいることがほとんどだったが、最後のモスクワのRoad of Resistanceでは久しぶりに最前の柵を捨てて、前に前に押し寄せるロシア人を押しのけて、モッシュピットの熱狂の中に下がった。
WoDでロシア人たちとカラダをぶつけ、走った。
日の丸を持っていたら、ロシア人が私をリフトしてくれた。
ようやくいつもの気分が戻ってきていた。
でも、鞘師里保がいるステージに向かって、これがしたかったな。
いつが鞘師里保の最後のアベンジャーズなんだろう。
もしかして、既に終わってるのかもしれないな。
帰国後しばらくして3月のアジアツアーの延期(その後中止)が発表になった。
5月のフィリピンのフェス、6月のヨーロッパ南部を中心としたツアーも中止になってしまった。
もちろん行きたくても行けない人もいるわけで、BABYMETALのライブに行ってBABYMETALが出てこなかったわけでなく、誰か出るかわからないアベンジャーズの希望の人が出てこなかっただけのことだ。
アベンジャーズってどうだったの?!
BABYMETALがアベンジャーズを生み出してくれたおかげで、鞘師里保を知ることができた。
その鞘師里保を通じて、沢山の知り合い、友人ができた。
今までBABYMETALのライブに来たことがなかった人がBABYMETALのライブに来てくれた。
ほんとによかった。
しかし、どうしても贔屓ができてしまい、自分の贔屓が出ると期待して行ったのに出なかった時にガッカリするようなことになってしまったのはよろしくない。
特にBABYMETALの場合、海外ライブの方が回数が多いため、見たいと思ったら、海外に行くということなるのは自然の流れ。
そこで出演回に当たらなかったらなかなかつらいものがある。
勝手に期待して、勝手に行ってるわけだから、BABYMETALに問題があるわけではない。
BABYMETALは鞘師里保がいなくたって、高いレベルのパフォーマンスを毎度見せてくれていた。
勝手に加熱してしまったのが悪いのだ。
鞘師里保が見たくて、モーニング娘時代からのファンでBABYMETALのライブに来た人のほとんどは鞘師里保がアベンジャーズが去ったあとのBABYMETALのライブに来ることはないだろう。
周りを見ていてそれはわかる。
きっとアベンジャーズの成果がわかるのはEPISODE Ⅹなのだろう。